ごはんマメ知識・こんなの知ってる?

Vol.30しなやかな日本人
フードディレクターとして食に関する様々な仕事を手掛けていらっしゃる、川久保理恵先生に語って頂きました!
韓流の波
スーパーの総菜コーナーを見ればどんな味が好まれどんな料理がブームなのかよくわかります。最近目立ってそのスペースを広げつつあるのが韓国系の総菜です。今年になってから徐々に増えてきたとは感じていましたが、年末になって改めて眺めるとその品数の多さに驚きます。すでに定番になったものがさらにバージョンアップされ、昔からあったような顔で並んでいます。
数年前、ある流通系のバイヤーが北海道物産展を催すと集客できると話していましたが、今年は韓国フェアをあちらこちらで見たように思います。しばらく前までは韓流ドラマに熱中するご婦人方の様子がニュースになるほどでしたが今では若年層も韓国のアーティストに夢中になり、韓流好みは特別なことでもなくなっています。これまでも海外の文化や芸能が話題になって一時的に流行ることはありましたが、その国の食べ物までが広く一般にまで浸透することはありませんでした。胃袋をつかむと浮気をしないというのは結婚披露宴の祝辞のようですが、韓流は一時のブームや現象で終わる事ではなく、日本に根付いていくひとつの文化になっていくでしょう。特に食品はこの先益々深く広く浸透していくことだと思います。
韓流から思う事
押し寄せる韓流の波を感じながら、これを別の角度から見ると日本人のしなやかな性質というものが見えて何か安心するような気持ちになります。
他国の文化をはなから拒絶することなく受け入れ、理解する方法を探ったり、模倣したりして結果的には本家より高いクオリティーの創造をしてしまう。そんなところが日本人にはあります。
韓国料理においてはまだ未知ですが、西洋料理のいくつかは本国よりも高いレベルの味を出すレストランが多くあります。庶民的な店でもかなりクオリティーの高いものを提供しています。日本をひとつのレストランと考えたら、世界一の味を出すレストランではないかと思います。
相手を理解しながら自分たちの文化と融合させて新たな創造を生み出すということは簡単なことではありませんが、柔軟な心で努力をすれば、良い結果につながるということではないかと思います。しなやかさは逞しさともいえるかもしれません。
この感覚は、プロの世界だけに通じるものではなく、家庭にも等しくあります。試してみたりアレンジしたり日々の食事にいつも変化を求めて努力する日本の主婦は世界一しなやかではないかと思います。韓流ドラマにはまった主婦がキムチを使って恵方巻きを作ったり、トッポギでグラタンを作ったり、クオリティーもなかなかのものだったりします。その姿勢に逞しさを感じ勇気をもらえます。
しなやかに逞しく
今年もこの時期になると鍋物の話題が多くなります。毎年新しい味わいの鍋が現われますが、今年はやはり韓流のチゲが人気のようです。唐辛子が身体の芯から温めてくれるので寒い時期にはありがたい鍋ものです。大そうな具材がなくてもキムチが入るとコクが出て充分においしくいただけるのも魅力だと思います。うどんを入れて鍋焼きうどん風にしてもチーズを加えてホンデュー風にしても・・・と各家庭でアレンジされていくことだと思います。
三月の震災で被災された方も鍋ものをしているのでしょうか。温かく暮らせているのでしょうか。家族や友人たちと鍋を囲む時、被災地を思っていただきたいと思います。
どんな状況も受け入れ、努力して解決するしなやかさと逞しさを私たち日本人は持っています。それは世界に誇れる新しい創造につながるはずです。2012年が希望と勇気に満ちる年であるよう祈り、努力したいと思います。


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